大学に入って初めて気がついた数学の本当の姿

こんにちは。田原です。

高校数学を勉強していると、

「数学というのは、問題を解けるかどうかが重要だ」

と思ってしまうと思います。

複雑に絡まってはいるけど、必ずほどけることが分かっている結び目を与えられて、

「さあ、時間内にほどいてごらん」

と言われて、結び目をほどくという作業を繰り返すので、作業を続けているうちに、それが数学だと思ってしまうのです。

僕も、高校時代は、「問題を解くことが数学だ」と思っていました。

しかし、大学に入って数学の授業を受けると、だいぶ様子が違いました。

今日は、大学に入って気がついた数学の本当の姿について書きたいと思います。

■大学に入って初めて気がついた数学の本当の姿

大学に入って、しばらくすると、

「数学から受ける印象が、だいぶ違う」

ということに気がつきました。

問題を解くことに重点が置かれていた高校数学と違い、大学では、問題が解けるかどうかではなく、

「人工的な世界において、決められたルールに従って振舞うこと」

が重要視されているのです。

各分野を勉強するときには、最初に、その世界のルールが説明されます。

具体的には、和、積、零、1(単位元)などが、定義されます。

場合によっては、それにいくつかのルールが追加されます。

そのルールによって、人工的な世界が定義されます。

ルールを理解し、その世界での振舞い方を理解したら、

少し、その辺をうろうろしてみて、ルールが実際にどのように働くのかを確かめます。

例題なんかを解いてみながら、その世界の雰囲気を味わいます。

慣れてきたら、その世界では、どんな面白いこと、すごいことが起こるのかを学びます。

これが、非常に重要です。

なぜなら、これこそが、その世界の存在意義そのものだからです。

数学では、誰もが自由に世界を作ることが許されています。

誰もが、勝手にルールを設定し、人工的な世界を作ってよいのです。

しかし、そのようにして作った世界が存在し続けるためには、多くの人が、その世界に価値を認めてくれなくてはいけません。

面白いとか、すごいとか、感動するとか、役に立つとか、そういった価値が、その世界から生まれたときに、その世界に存在意義が生まれ、多くの人がその世界に参加して、中で遊んでくれるのです。

集合論という新しい数学を作ったカントールが、他の数学者から、さまざまな非難を浴びたときに言ったのが、

「数学の本質はその自由性にある」

という言葉でした。

この言葉を、大学1年生のときに聞いたときには、さっぱり意味が分かりませんでしたが、数学に対する理解が深まってくるにつれて、

「深いな~」

と思うようになりました。

数学に対する印象が変わると、数学を学ぶのが楽になりました。

本を読んだり、講義を受けたりしているときに、自分の心の中で質問を問いかけることができるからです。

(1)どんな世界なの? まずは、ルールから説明してもらおうか。
(2)ルールは分かったぞ。それじゃ、ちょっと案内してもらおうか。
(3)雰囲気は分かったぞ。ここでは、どんなすごいことが起こるんだい?

という感じです。

問題を解くことを重要視した高校数学では、解けるようになるまでに苦労しましたが、大学に入ってからは、早い段階で勉強のコツをつかんだ
ため、楽しく学ぶことができました。

そして、たくさんの「すごいこと」を体験することが出来ました。

 複素関数論で登場するオイラーの公式や溜数定理

 集合論で登場する対角線論法

には、本当に感動しました。

たくさんの「世界」に入門して、たくさんの感動を味わうことができました。

(追伸)

高校数学でも、実は、「新しい世界の定義」がこっそりと登場しています。

それは、ベクトルと行列です。

たとえば、ベクトルを学ぶときには、

(1)ベクトルの和、差、零の定義
   ベクトルの積(内積)の定義

を行い、ベクトルという世界を定義するわけです。

続いて、

(2)簡単な例題を解いて、ベクトル世界の雰囲気を味わう。

ということをやり、

(3)ベクトルを定義すると、何が面白いか。

ということを体験するために、いろいろな問題を解くわけですね。

僕は、高校時代に、こういう「新しい世界を定義する儀式」について何も知らなかったので、内積のところで躓きました。

「なんで、こんなものが登場するんだ?」

というモヤモヤ感が、躓きの原因でした。

今なら、

「積の定義は、定義する人の自由!」

として、こだわらずに先に進むことができます。

その定義がうまい定義かどうかは、そのようにして作った世界が、面白いかどうかによって判断されることなので、先を聞いてみて、面白い部分を教えてもらわないと、何とも言えないわけですから。

でも、きっと僕と同じように、「内積」で躓いた経験のある人、結構、多いと思います。

今日の記事が、そういう人の心のモヤモヤを吹き飛ばすきっかけになればうれしいです。


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